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うたわれるものSS
「想い」
ああ――これは……夢だ。
なんで夢だと分かるかって?それは、ユズハが生きているからだ。
今思えば、俺はユズハに何をしてあげたかったのだろう?
俺はユズハが心配だった。薬師から長くは無いと言われた時、少しでも長く生きて欲しいと思った。少しでも長く……それがユズハの願いでもあると信じていた。
しかし、それは間違っていた。それに気がついたのは兄者のお陰だ。
兄者が来るたびに、ユズハは嬉しそうにしていた。来ないと言ったら、次に来るのは何時か?と聞いてきた。もっと兄者の話が聞きたいとユズハが言った。

 初めてだった……ユズハが俺に意見をいってきたのは。俺は、其の時兄者が憎かった。いきなり現れて、ユズハにとって大事な人になった兄者が……正直殺してやりたいほど。
そんな時、兄者が言ってきた。「何時まであの子を閉じ込めておく気だ」と。

 俺は怒って兄者に本気で斬りかかった。しかし、兄者には勝てなかった。そんなことをしている間に、ユズハに発作が起きた。其の時はトゥスクルさんがいたから助かったが、トゥスクルさんは、ユズハの病は断続的に彼女の命が尽きるまで続くと言った。
俺は目の前が真っ暗になった。「虫の子一匹だって殺したことの無いユズハにいったい何の罪があると言うんだ」俺が泣きながらそう言うと兄者が、あの子に決して悟られるなと言った。
其の後俺はユズハに、外に出て見たいかと聞いた。するとユズハは、「ユズハは、外に出て見たいです。ハクオロ様が言っていた物やお友達がいる外へ」そう言って来た。
其の後俺はいつもの様に城に侵入して、金になりそうな物を持っていこうとしたら、失敗して見つかりベナウィと戦ったが破れ、兄者にかくまってもらった。兄者にもうこんな事はやめろと言われたが、そうするとヤマユラは食べる物が無くなるし、ユズハの薬も手に入れる事ができなくなる為やめることが出来なかった。
そんな時だった、トゥスクルさんが殺されたのは。やったのはササンテの息子ヌワンギだった。いつもの様にヤマユラの住民を苦しめる為、税を上げに来た所をアルルゥが石を投げ、それに怒った憲兵が斬りかかったのをトゥスクルさんが庇った為だった。

 俺はやり場の無い怒りを兄者に向け、殴った。何故兄者が居ながらトゥスクルさんを死なせたと。そして俺は、ユズハを兄者に託し、一人でササンテの元に行った。だが、ササンテの息子のヌワンギ等によって囚われてしまった。そしてもうすぐ死ぬと言うときに、兄者が村人たちを連れて叛乱を起こした。俺は……また兄者に助けられた……。
その時から俺は兄者にならユズハも任せられるし、何処までもついていくと心に決めた。
その後兄者はこの叛乱に勝利し、トゥスクルを建国した。トゥスクルの皇になった兄者は、前より忙しくなったけど、少ない時間の中でユズハに会う時間も作ってくれた。兄者のお陰でユズハもアルルゥやカミュといった友達もできたし、高価な薬も惜しみなくユズハに与えることが出来るようになった。ユズハも前よりもずっと元気になり、よく笑うようになった。
俺はユズハの残された時間をユズハの好きにさせてやる事にした。たまにアルルゥやカミュがユズハに変なことを教えたり、蜂の巣を採りに行くのはやめてほしいが、二人には感謝していた。もしかしたらこのままユズハの病は治るんじゃないか?俺はそう願っていた。
だが、ユズハの発作の感覚は確実に短くなってきている。だげど、兄者はユズハの元に行っていろんな話しをして、ユズハといる時間を前よりもずっと増やしてくれた。ユズハが何故ここまで良くしてくれるのか? と兄者に聞いたことがあるらしい。すると兄者は、私がユズハを好きだからと言ってくれたらしい。その時のユズハの顔を俺は今でも覚えている。

 アルルゥやカミュと一緒に居るときにさえ見せたことの無い、兄者のことを想うその時のユズハの表情は、俺も幸せな気分になるほどだった。そして何より、兄者もユズハのことが好きだったのが、俺には嬉しかった。
ある日、ユズハの部屋にいった時ユズハが兄者の子供が欲しいといった。その時飲んでいた茶を吹きこぼしながら、俺はユズハに尋ねた。するとユズハは「ユズハには残された時間が余りありません。だから、ユズハは生きた証を残したいのです。それに、ユズハはハクオロ様が好きだから……後悔したくないから……」そう言ってきた。
頭では分かっていても俺はその事を兄者に伝えるのに時間がかかった。ユズハが兄者を好きなのは分かっていた。以前なら絶対に許さなかっただろう。だけど、相手が兄者なら……兄者ならユズハを絶対に幸せに出来るから……俺は兄者に頼みに行った。
「兄者、話があるんだ。ユズハに……女の喜びを与えてやってくれ」そう言った途端、兄者は酒を吹きこぼした。「ま、待てオボロ突然どうした? 話が読めん」俺は酒を飲んで話を続けた。「ユズハが兄者の子供が欲しいと、そう言ったんだ。俺はユズハが望むなら、そして相手が兄者だからこそ頼むんだ。この通りだ、頼む」俺は何度も頭を下げて兄者に頼んだ。
その後兄者がその事をどうしたのかは知らない。でも俺は兄者を信じていた。
だが、別れは突然やってきた。最後の出陣の時、ユズハは自分の髪の毛を数本引きちぎり、兄者と再会のおまじないをした。そしてユズハは「ハクオロ様、帰ってきてくれますか?またユズハを抱きしめてくれますか? 」そう言った。

 兄者も「ああ、約束だ」と言ってユズハの指に「おまじない」をした。しかし、兄者は最後の戦いの時、自分の記憶が戻り自分は居てはいけない存在だと言い、大封印される事を選んだ。俺はユズハも連れてってくれと頼んだ。だが兄者はそれを拒んだ。

 「私だって出来ることならユズハをつれてってやりたい。オボロ、分かってくれ。……結局、私にはユズハを幸せにすることが出来なかったな……」

 「バカヤロウ。ユズハは、ユズハは兄者が傍に居ればそれだけで幸せだったんだ。それなのに、それなのに……兄者の……兄者の大バカヤロウ」

 俺は泣きながらそう叫んだ。そして兄者は眠りについた……。
その事をユズハに伝えるのはとても辛かった。ユズハは大泣きした。俺も泣くことしか出来なかった。それからしばらくして、ユズハに兄者の子供が宿っている事をエルルゥから聞かされた。ユズハは嬉しがっていたけど、俺は複雑な気分だった。ユズハが子供を生んで生きていられる保証が無いからだ。だけど、ユズハが生むと言った時、俺は心から祝福した。それがユズハの望んだことだから。
兄者がいなくなったのを良い事に他の国の連中が騒ぎ出した。そんな連中と戦っている時に、ユズハの出産の話が速報で俺の耳に届いた。その時にカルラが、ここは私に任せて彼方は早くいっておあげなさいなと言ってくれて俺はすぐにトゥスクルに戻った。
「お兄様」

 ……ユズハは生きていた。皆がおめでとう等とユズハに言っている。

 「おめでとうございます。元気な女の子ですよ」

 エルルゥからユズハと兄者の子を手渡された時、俺は泣きそうになるのを堪え、ユズハに「おめでとうユズハ。よく頑張ったな」と言った。子供の名前はユズハが「コノハ」と名づけた。兄者と決めていたらしい。
その日はトゥスクル中で盛大な宴が繰り広げられた。俺はユズハの部屋に行った。
しかし、部屋に入った俺を待ち受けていたのは厳しい現実だった。ユズハが苦しそうにしていたのだ。……ユズハは耐えられなかったのだ。

 俺が誰かを呼びに行こうとするとユズハが止めた。そして俺に「お兄様……コノハを……頼みます」そう言った。

 俺は……泣いていた。そして「馬鹿なことを言うな」そう言うのがやっとだった。
「これで……ユズハも……ハクオロ様の元へ……行ける……」
俺は……やはり泣くことしかできなかった。そんな俺に「お兄様……泣いているのですか? 」ユズハが尋ねた。
「……泣いてなんかいない……泣いてなんか……」
「何処か痛いのですか? 」
ユズハは最後まで、人の事を心配していた。自分の方がよっぽど苦しいのに……。
「大切なのは、自分の守りたいものを守る力だ」
昔、兄者にそう言われた事がある。今の俺に出来ることは、「大丈夫だ」そう答えて、ユズハを安心させることだけだった……。ユズハが安心して、兄者の元へ行くことができるように……泣いていると悟られないように……。
「クスッ……変なお兄様……でも……ユズハはそんなお兄様が……大好きでした」
ユズハ……?
「ハクオロ様……ユズハがハクオロ様の元へ行ったら、もう一度……抱きしめてくれますか?」
それが……ユズハの最後の言葉だった。
「ユズハ……? 冗談……だよな? 寝たふりなんかしても騙されないぞ……お前は昔から嘘なんてつけないんだから……なあユズハ……嘘だと……言ってくれ……目を覚ましてくれ……」
俺には……泣くことしか出来なかった……。
 
ユズハは兄者の元へ行ってしまった。俺はコノハにユズハには見せられなかった広い世界を見せるために旅に出た。いつか兄者が帰ってくる日まで、俺が責任を持ってコノハを育てる。そして、大切な者を守るために。そう心に誓いながら……。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
どうも俊です^^
自分で書くとやっぱり難しいですね。でも、楽しかったです。コノハの名前は、セシリア様の許可が下りたので使わせていただいてます^^このSSは、少しPS版よりもオリジナルですね。ハクオロはユズハが一番ですしw
このSSを創ることが出来たのは、セシリア様のお陰です。セシリア様、本当にどうもありがとうございました^^これからもどうぞ宜しくお願いします。現在、ユズ×ハクSSである「愛しいもの」を練り直しています^^早ければ今週中に出来ますので、そちらもどうか宜しくお願いします。本年もユズハクSS頑張ってみます。どうかよろしくお願いします^^
それでは^^